長めの文章

2021.2.9 上司の付き合いで飲んだ殆どロックの芋焼酎お湯割りで酩酊状態で帰宅、そのままの勢いでブログを開設するに至る

「新サクラ大戦 the Stage ~二つの焔~」を振り返って

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2021年もいよいよ残りわずかとなりました。

 

今年もコロナ禍に振り回されてばかりでありましたが、アニクラ行ったり東京行ったりとなんやかんやで充実した1年だったかと思います。

さて、そんな私の1年の締めくくりと言わんばかりに12月17日〜19日にかけて東京は足立区北千住、シアター1010で行われた「新サクラ大戦 the Stage ~二つの焔~」を振り返りながら、これからのサクラコンテンツを考えていこうと思います。

 

 

 

 

花組の成長あってこそ

 

「二つの焔」は非常に良い舞台となりましたが、成功の一因はやはり演者のクオリティの高さでしょう。

「1年を通して成長した新花組なら、ここまでやっても絶対に出来る!」という意気込みが演出面でも溢れており、それが最も感じられたのがOPの華やかな演出や激しい殺陣、ラストの三都市華撃団と夜叉の大立ち回り、極めつけは帰郷したさくらの入浴シーンでしょうか、まさかここまで舞台でやってしまうとは思いませんでした……

 

また、6人それぞれに相応の見せ場があり*1、ゲームでそこはかとなく感じざるを得なかったキャラクターの優遇・不遇をあまり感じずに楽しめたかと思います。

 

新サクラの問題点を論ずる上でしばしば取り沙汰される「ハブられてしまった初穂個人回」ですが、問題の5話では初穂の活躍を多めに取り上げることで作品での存在感はより高まったのではないかと感じました。

本当は東雲神社の巫女としてのエピソードも欲しいのですが……それは次回へ持ち越しです。



演者が作品を創る

 

満を持して新たにキャストとして加わった「焔組」こと上海・倫敦華撃団。

シャオロンもアーサーも女性キャストということで最初は些か不安を感じたのは事実ですが、これが見事に大当たりでした。

 

正直な話を申し上げますが、上海と倫敦はゲームでは何だか微妙な立ち位置に終わっています。

 

倫敦は伯林の前座、更に倫敦戦の次がクリスマス回だったこともありどうしても影が薄く、上海に至っては登場からいけ好かないヤツとして描かれている節があり、個人的に印象のあまり宜しくないキャラでした。*2

 

さて、今回は両華撃団との出会いや絡みを舞台向けに簡略化、特にラストの夜叉戦で両華撃団の見せ場を新たに設けたことでキャラクターの印象がより際立って感じられました。

個人的に特筆すべきキャラを挙げるとするならば、シャオロンなんて舞台で一番株が上がったキャラクターでしょう。

ブロマイドは速攻売り切れ、カーテンコールでの深々としたお辞儀、舞台観劇後はチャーハンが食べたくなる……シャオロンがここまで新サクラの話題の中心にいたことが今までにあったでしょうか!?

また、ランスロットも演者である小松穂葉さんの個性も相まって、ゲームでの戦闘狂?なイメージが随分マイルドなものになっていました。

 

演者が作品を創ったと言いましょうか、会心のキャスティングでした。

 

なお、今回の宴パートでは「虹の彼方」と「円卓の騎士」が初披露。

ユイやランスロットがソロで歌うゲーム版とは異なり、各華撃団員のデュエット曲として披露されましたが、ある意味この形式がこの曲の完成形なのではないでしょうか。

歌唱においてもシャオロンやアーサーのパートを抜かりなく作ることで、キャラクターの印象をグッと高めることができていたと思います。



「影の主役」芽組

 

もう一つ触れておきたいのが、「二つの焔」を支えた「影の主役」、芽組の演技が見事なこと。

 

竜胆カオル、大葉こまち、西城いつきの風・月組*3、新サクラ舞台ファンなら最早お馴染みの朧にプレジデントG、そして今回堂々登場の夜叉といった上級降魔、果ては八丹斎様まで芽組が演じており、その誰しもが全く違和感の無いものに仕上がっていたのが素晴らしい。

また戦闘では降魔を演じたり小道具を巧みに操ったりと、所狭しと舞台を動き回る芽組。

舞台の演出に華を添えていく連携プレーが秀逸。

 

「二つの焔」は芽組の舞台でもあったと言っても過言ではないでしょう。

 

新サクラの舞台もゆくゆくは少女歌劇を目指しているのか、往年の歌謡ショウとは違い男性キャストを一切起用していませんが、焔組を含めてここまで違和感の無い役作りをして頂いているのですから、その方向に異論はありません。

田中公平歌劇団」としてどこまで面白い舞台ができるのか、これからの楽しみの一つです。



舞台の今後

 

さて、「二つの焔」をざっと振り返ってみた訳でありますが、今回5話まで消化しており残るは6~8話(=最終話)。最終決戦を淡泊な展開で終わらせるハズがないのでゲームをベースとした舞台も残り2回、おそらく1年に1回上演すると考えると新サクラの舞台が確実に観られるのはあと2年しか残っていません。

時系列を辿ればそのままアニメのストーリーに繋げていくことも可能ですし、莫斯科華撃団まで登場するとなると非常に嬉しいものがありますが、果たしてそこまで展開を考えているかどうかは何とも言えません。



……振り返ってみれば、2021年はヤング・サクラ大戦ファンとしては思い出したくもない、散々な一年でありました。

終わってしまったことや今後どうなるか分からないことを部外者の分際でうんうん頭をひねって考えてもどうにもならないので、今私ができることはとにかく舞台を応援することだけです。

この記事でも舞台をベタ褒めしてきたのですが、LIPS演出の雑さや千秋楽夜公演まで上手くいかなかった映像演出等、改善してほしい点は幾らでも挙げることはできます。

 

 

ちょっと余談なのですが、新サクラ以降のサクラコンテンツ全てに通じることとして基本的に「大正時代」へのしつこいくらいのリスペクトが足らないように思います。

 

サクラ大戦のあの独特な世界観を作り上げている要素はスチームパンクやクサいくらいの勧善懲悪だけでなく、大正浪漫・少女歌劇文化への深い敬意にあると考えています。

これはただただ「サクラ大戦っぽい」要素をそれとなく真似をして出来るようなモノではありません。

 

「作品に出てくる日本語の横書きは全部右から左へ書いてますよ~」とか、「建物は、辰野金吾建築っぽい雰囲気にハイカラさを足す感じで良いんでしょ~?」とか、大正浪漫らしい雰囲気を頑張ってこしらえても、東京の地理や歴史にまで踏み込んだ背景の作りこみが甘ければ、サクラの世界観の完全再現には程遠いものとなります。

 

 

そもそもサクラ大戦は原作者・広井王子の個人史を素地とした物語であるので「その原作者がいなければサクラの世界観は完全に再現できないじゃないか」という、まるで話が振出しに戻ったような結論を迎えざるを得ないのですが……

それでも制作陣が大正に向き合えていないというのが新サクラの違和感を生み出している隠れた理由なのではないかと考えていますが、どうでしょうか……

 

 

それでも私が新サクラの舞台を応援しているのはもっと進化した新サクラの舞台が観たいという気持ちがあるからなのです。*4

昨年11月は不安で不安で仕方なく、新花組のコスチュームを身に纏ったキャストの写真すら直視できないまでの気持ちで初観劇に臨んだのですが、そんな舞台も今やとても見応えのある「素晴らしき舞台」になりつつあります。

この魅力と進化を知ってしまった以上、今更応援の手を引っ込めるなんてできません。

 

来年4月には「桜歌之宴<二幕>」を控えています。

更に進化した花組達に逢えることを楽しみにしつつ、今年の締めとしたいと思います。



 

それでは皆様、良いお年を

*1:昨年の舞台で個人回が設けられたクラリスは戦闘パート以外は今回あんまり目立っていなかった印象ですが……

*2:物語の中盤からはただの中華料理屋さんでしかないのも……

*3:もうネタバレとかこの際いいでしょ

*4:常勝球団の大活躍とその高揚感に浸りながら応援するのとは程遠く、地元の独立リーグ球団を至らない点もフォローしつつ根気良く応援する感情に近いものがあるかもしれませんが